「農」を通じて思うこと。

2015年10月26日

「今年は、田んぼに除草剤を使おうかと思うけど、どうする?」
父から投げかけられた言葉。
私の父と母は30年近く無農薬でお米を作り、私たち兄弟の食卓に安全なお米を提供してきてくれました。父は今年84歳になります。私よりよっぽど体力があるように見えますが、さすがに体力的に以前のようにはいかず、母と2人で田んぼの作業をするときに、以前の倍近い時間がかかるようになってきていたようです。きついなんて言葉を言っているのは聞いたことがない父ですから、かなりぎりぎりのところでの言葉だったのだと思います。
私は、2年前から梅とミカンの収穫と、梅干し作りを手伝い始めましたが、田んぼにおいては、昨年1回だけ草取りを手伝っただけです。
草取りの流れや手間を聞いていると、草取り一つだけでも、今の仕事である歯科の仕事と両立し、私主導で今までどおりの無農薬で行うのは難しいだろうなと思いました。
安易に引き受けると、周りの田んぼに迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。
でも、30年両親が守ってきてくれたものを、簡単にはあきらめたくないという思いもありました。
悩んでいた時に、私の医院で開催している勉強会のメンバーにこの話をしました。
そのときあるメンバーに、「もし先生が薬を使うのであれば付き合いをやめますよ。」と言われたのです。
その言葉に私はハッとしました。生き方を問われた気がしたのです。
6年前、私の娘が小学6年生の時に、難病にかかり寝たきりになった時、それでも既存の医療のシステムに違和感を覚え、自分たちで人任せにせず、また、娘と関係ないシステムの上で構築された医療をあてがうのでなく、娘自身を観て対応してきたこと。手間がかかっても、お金がかかっても、周りに何と言われようと、娘が本来の状態でいられることを目標に協力してきたこと。自分の診療所も、経営的に厳しくなることも承知で、システムや固定観念に縛られることなく、「その人」に対応できるように、保険診療という枠を取り払い、歯科医療という枠も取り払おうとしてきたこと。
やはり、自分達が食べるものを作る農という部分が、そこだけ違うスタンスでよいということにできないと思いました。
5月の梅の収穫から、8月のお盆まで、そして9月に入ってから。休診日の木曜日と日曜日は、講演の合間を縫って、ほぼ毎日畑や田んぼにいます。
父、母のサポートの下、医院のスタッフや勉強会のメンバー、患者さんなどに手伝ってもらいながら、どうにかやってきましたが、やはり手が足りません。
課題はたくさんです。
でも、学んだこともたくさんあります。
今の医療は、症状を治すということを目的とした人間基準のもののとらえ方だけで展開されていきます。この視点だけで対応できるものは全体のほんの少ししかありません。
なぜなら、ヒトは自然の中の一部であり、天然の一部だからです。
この視点に立った時、今の医療に何か違うと感じていることや、難病という今の医療が対処できないというものへの対応が見えてくると感じています。
その土地がその土地らしくあるお世話をするだけ。この言葉を聞いた時、医院のコンセプトと一緒だと感じ、非常に感銘を受けました。
その人がその人らしくいられることの協力をするだけ。
「なおす」ではなく「結果、なおった」になる視点もあるのだと思います。
そして、良いも悪いもなく、その人がその人らしく、いろんなものが、事柄が、それらしくあることがバランスを生み、そして、それらが存在させてもらえることにつながるのではないかと思うのです。
ヒトの常在菌、その土地の土壌菌。虫たち。生き物。野草。発酵。エネルギーのやり取り。
などなど、思いはいろんなことに広がっていきます。
そして、私の中に一つの構想が浮かんできました。
「ハレ」と「ケ」という言葉がありますが、今は「ハレ」の場が日常となってきているように感じます。診療という場も一つの特殊な場で、「ケ」の状態の日常を拾ってはいません。
診療も、「ケ」の状態の日常の生活の中に落とし込んでいけたらよいと思うのです。
今の自分が身体的にも精神的にも、もっと違う意味でもどこが自分らしくないのか、自分のことを、自分で対応できるようにすることも普段に落とし込む方法の一つです。
自分ではまだできないけれど、その方向を持っている人に対しては、自分で対応できないことを皆でサポートしていけるような場づくりが必要になってきます。
日常生活の中で自分らしさを探していかれる場が必要なのだと感じています。
畑があり、作業場があり、宿泊できる場があり、食事もできる。
ワークショップや勉強会ができるスペースや、相談を受ける場もある。
人のことも自分事としてとらえられる皆が自由に出入りし、協力し合える場。
今の経済システムに振り回され自分を見失っている状態から抜け出したい人には、雇用も生まれる場。などなど。
皆で協力し合いながら、そんな場が作れたらよいなと思います。
「歯は、自分が本来の自分と違っていることを教えてくれる、優秀なセンサー。
症状は自分からのサイン。歯の症状をきっかけに自分らしさを取り戻していく。」
そんな小嶋歯科医院という場が、もっと枠を超えていくきっかけを、農の体験が教えてくれました。
まずは、場所を探すことからスタートです。
ご協力いただけたら嬉しいです。
そして、私にとって、農に関してはまだまだ始まったばかり、もっともっと経験し、学んでいきたいです。

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